(2020年8月8日時点の記事です)
【SEDG】企業概要
- 会社名 :SolarEdge Technologies Inc
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設立年月 :2006年8月
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セクター分類: IT・通信 (IT & Communications)
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従業員数 : 2,431人
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ウェブサイト:www.solaredge.com
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概要:ソーラーエッジ・テクノロジーズは、イスラエルの太陽光発電システムソリューションプロバイダ。費用を抑えつつ、安全で効率的な太陽光発電(PV)を可能にさせるインバータソリューションを開発、設計、販売。同社のシステムは、発電最適化装置、インバータおよびクラウドベースの監視プラットフォームで構成され、住宅向けから商業用まで様々な市場に対応。(Yahoo!ファイナンスより)
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ヴィジョン:常に改善することにより、全ての人々にとってより良い未来につなげます。
- 公式HPにあるファクトシート←会社概要がわかりやすくまとまっています
【SEDG】事業のポイント
インバータとパワーオプティマイザー
四半期決算を見るとわかりますが、ソーラーエッジの主力製品は、インバータとパワーオプティマイザーに分かれます。
ソーラーエッジ のこの動画を見ると、ソーラーエッジ の太陽光発電技術の全容がわかりやすいです。
私は、このあたりの技術が超絶初心者なので、エンフェーズエナジーの技術との違いを理解するのに時間がかかりました汗。
私の理解では、こういうことです(間違っていたらすみません)。
太陽光発電を実現する従来型の「パワーコンディショナー」では、以下のような課題を抱えていました。
- 発電効率の課題(パネルが直列につながっているため、例えば一つのパネルに影ができた場合すべてのパネルの発電量が落ちる)
- パネル設置場所の制約(パネルを全て同じ角度で設置する必要がある)
- 安全上の課題(パネルの直流電力を遮断できないので、設置業者や消防士にとって危険が伴う)
- 整備面の課題(パネルごとのモニタリングがないため、問題のあるパネルの特定に時間がかかる)
これを解決するのが、ソーラーエッジ の技術です。従来のパワーコンディショナーの役割を、各パネルに取り付けるパワーオプティマイザーと、簡素化されたパワーコンディショナー(直流→交流への変換に特化)に分けることで、従来のパワーコンディショナーの課題の解決を図ります。
ちなみに、私の理解では、ソーラーエッジ とエンフェーズ・エナジーは同じことを違う方法で実現しているということだと思います。
- ソーラーエッジ :従来のパワーコンディショナーを、パワーオプティマイザー+簡素化されたパワーコンディショナーに分解することで解決
- エンフェーズ:従来のパワーコンディショナーを、マイクロインバータに代替えすることで解決
結局、ソーラーエッジ とエンフェーズの両者は、集中制御から各パネルごとの分散制御に切り替えることで、発電効率や安全性の向上を図っているわけです。
コロナショック後の、住宅用ソーラー設備需要の伸びに期待
エンフェーズの分析メモでも書きましたが、個人的な見解として、住宅用ソーラー設備の伸びに期待しています。
コロナショックによって増えたリモートワークは、マクロ視点でみれば、おそらく完全に元の勤務体系に戻ることはないでしょう。
自宅での仕事では、PC、スマホ、電気、エアコン設備など、電力を食います。
自宅での作業がより増えたフリーランスなら、自家発電して電気代を削減したいと考えるのは必然です。
また、オフィス空間をスリムにして固定費を削減したお金を、従業員へのソーラー設備導入手当に充てる企業が出てくるかもしれません。
ソーラーエッジ も、商用と住宅用の両方を展開しているようなので、その追い風を受けることになるのではないかと考えています。
【SEDG】ソーラエッジを取り巻く市場動向
米国の非住宅用ソーラー設備の予測
上記の表は、新型コロナウィルス蔓延前(紺色のライン)と後(水色のライン)の市場展望の差を表しています。
2020年はウィルスの影響により予測が大きく下がっていますが、2021年には大きく盛り返し、2023年には元々の予測に追いつくというレポートです。
米国の住宅用ソーラー設備市場
こちらの表は、米国の住宅用ソーラー設備の四半期毎の推移を示しています。これまで最も設置が多かったのが、2016年の第1四半期の687メガワット(MW)でした。
しかし、2019年第3四半期に、712メガワット(MW)のソーラーが設置され、過去最高を記録しています。
近年、ソーラー設備の価格下落によって、住宅用設備の記録的な成長、普及につながっているようです。
競合は誰?
最大のライバルは、エンフェーズ・エナジー【ENPH】です。
ソーラーエッジは、2013年時点でわずか4.5%の市場シェア(第5位)でした。その時に、エンフェーズは20%以上のシェアを握っていました。しかし、その後、ソーラーエッジ のシェアはグングンと伸びていき、2019年には米国の住宅設備の60.5%を占めています。
相対的に、エンフェーズのシェアが徐々に減少しています。
ソーラーエッジは、ここ数年で見れば、ライバルのエンフェーズとその他競合のシェアをものすごい勢いで食ってきた、ということがわかります。
【SEDG】業績・決算
2020年8月3日に発表された2020年2Qの四半期決算も含めた情報です。
売上(評価:S)
2017年→2018年に約54%の伸び、2018年→2019年に約52%の伸びと、大きく右肩上がりとなっています。
営業キャッシュフロー(評価:S)
2017年→2018年に約38%の伸び、2018年→2019年に約37%の伸びと、売上と同様、大きく右肩上がりです。
営業キャッシュフローマージン(評価:A)
2017年 22.5%
2018年 20.2%
2019年 18.2%
一般的に15%以上あれば良いと言われる中、直近の3年はその基準を超えています。一方で少しずつ下落傾向にあります。
EPS(評価:B)
四半期ごとに見たEPSは、2019年後半と比べると2020年は下がっています。
コンセンサスEPSに対して、2020年Q1でネガティブサプライズであることが気掛かりでしたが、直近の2020年Q2ではポジティブサプライズを演出しました。
このまま2020年Q3・Q4で着実にポジティブサプライズを出せれば、SEDGの決算に対する信用が積み上がってくはず。
業績まとめ(総合評価:A)
この結果から、私としての総合評価はAとしました。
主力製品の出荷数
パワーオプティマイザー、インバータ共に出荷数は順調に伸びてきました。ただし、直近の四半期(2020年2Q)は出荷数が減り、前年同期の数字も割っています。
2020年2Q決算のハイライト
- 欧州での販売と設置は回復。一部の国ではCOVID-19以前を上回っている。
- 米国では回復の兆しが見られるが、COVID-19以前のレベルではない。
- 商業用ビジネスは成長
- イスラエルのSella 1工場が8月に生産を開始
- 毎週の新規受注、設置率などのトラッキング指標は、地域やセグメントによって改善率が異なるものの、すべてポジティブな傾向を示している
【SEDG】私的まとめ
- 住宅用ソーラー設備の今後には期待できる
- 米国大統領バイデン氏当選の際には、2兆ドル投資?だとすると追い風(トランプ氏当選だと、一時的に下がる恐れも)
- 業界の伸びは良い
- 6割以上を占める市場シェアは圧倒的
- 2017〜2019年の通年の売上と営業CFは十分。
- 2020年は、Q2で下がった売上や出荷数がQ3・Q4でどこまで取り戻せるか注視
- 新型コロナウィルスや米国大統領選の影響が大きいため、注意が必要
- 純粋に、再生可能エネルギーは応援したい
ソーラーエッジ がこのままシェアの拡大を続けるなら、世界的に見ても圧倒的なポジションを確立することになります。
ESDGとENPH両社の2020年2Qを見届けてから、双方のポジションを同程度徐々に増やしましたが、どちらがベターかを決めきるには至っていません。
それぞれの技術的な強みを分析しないと、どちらかに大きくポジションを振ることは難しそうです。
次の決算までホールドしつつ、深めていければと思います。
【ENPH】エンフェーズ・エナジーの分析メモはこちらです。
構成銘柄としてソーラーエッジ を6%ほど含むクリーンエネルギー ETF「ICLN」についての記事も書いています。
投資初心者ながら、自分なりに分析したことが誰かの役に立ったり、時短になればと思い、書きました。
最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。間違っているところなどありましたら、ご指摘ください。